心地よく、日常に溶け込むように。
新宿パークタワーのリサイクルの形。
2025.08
竣工から31年。これからも西新宿のシンボルであり続けるために。今回は、次世代につないでいくための、ESG活動をご紹介します。
ユニフォームの軍手リサイクル
ファッション、アートと交差する場所だから始まった、
アップサイクルな取組み。

新宿パークタワーでは電気や空調などの保守、清掃、警備など多くの管理スタッフが日々、オフィスで働く人や来訪者に安全と心地よさを届けています。そんな管理スタッフの着られなくなったユニフォームをアップサイクルする取組みが始まりました。
この取り組みのきっかけは2024年の春、「SHINJUKU PARK TOWER 30th Anniversary」プロジェクトでお披露目されたインフォメーションスタッフユニフォームのリニューアルにさかのぼります。
(https://www.shinjukuparktower.com/eyes/style/view-2408.html)
この新しいユニフォームは、デザイナー・コシノジュンコ氏がデザインし、縫製をユニフォームや作業着などを販売する株式会社たまゆらが手掛けたもの。「美しさと実用性」や「円と四角」「光と影」といった"対極"を提唱するコシノ氏。この"対極"の考え方は、「美と責任の両立」という理想的なアパレルのあり方にもつながっています。そのコシノ氏からの紹介で繋がったのが、株式会社たまゆらが行う、廃棄予定の制服を回収・加工し、軍手や建材などに生まれ変わらせる「ユニフォームリサイクルプロジェクト」でした。
それまで新宿パークタワーではクリーニングや修繕をしながらも、年間約300着の管理スタッフユニフォームが産業廃棄物として処分されていました。着られなくなったものを単に捨てるのではなく、軍手として新たな命を吹き込むことができる。さらに、SHINJUKU PARK TOWER 30th Anniversary写真展「NEWS」を開催した、写真家・鈴木弘之氏の言葉にも背中を押されました。「新宿パークタワーには"都市の景観美と社会貢献"という役割がある。そして、"美しさ"とは、誰かにとって心地よく、持続可能なものでなければならない」----この考えに共感し、ユニフォームを軍手にアップサイクルする取り組みは始まりました。

回収された管理スタッフのユニフォームは株式会社たまゆらで素材や汚れの状態ごとに丁寧に選別され、その後、特殊技術で糸に再加工され、軍手として編み上げられます。素材の違いから生まれる模様は、一つとして同じものはなく、それぞれに個性があります。完成した軍手は、管理スタッフの日業業務をはじめ、毎月第一水曜日に実施する近隣の美化活動「クリーンデー」、館内イベントの準備作業など、さまざまなシーンで活躍しています。
ESGへの取組み
楽しみながら広がっていく、サステナブルの輪。

新宿パークタワーのサステナブルへの取組みは、館内の至る所やオフィスで働く日々の中にも。
新宿パークタワーのESGポータルサイト「EaSyGo」は、オフィスで働くワーカー向けに、環境やウェルネス、防災などに関する情報やイベントを発信しています。サステナブルというと個人ではハードルが高そうに感じますが、「EaSyGo」の取組みは、楽しみながらできるものばかり。たとえば、デスクワークの多いワーカーに向けたストレッチイベントや、飲料メーカーと共同開催したお茶のワークショップなど。お茶のワークショップでは美味しい淹れ方から、淹れた後のお茶を無駄にしない活用法も紹介。どのイベントもお昼休みや仕事終わりなどワーカーの皆さんが参加しやすい時間帯に設定されています。

また、2025年夏には、1階エレベーターホール前、受付横、アトリウムに株式会社FASHION Xの古着回収BOXを設置。回収された古着は、施設への寄付や再資源化、服飾学校の学生によるリメイクファッションショーなど、多様な方法でリユース・リメイク・アップサイクルされます。突然現れた緑色の回収BOXにワーカーの方も興味津々の様子で、「テナント対抗で集めたら楽しそう!」といった声も上がりました。

こうしたイベント以外にも、ビルに入居するテナント向けに館内の見学会も定期的に開催し、防災設備やごみのリサイクル現場を紹介しています。実は、ごみのリサイクル作業は想像以上に細やかで多岐にわたります。清掃スタッフが専用機械で空き缶を分別したり、発泡スチロールをヒーターで溶かし、インゴット化して輸送時のCO2の排出量を抑えたりしています。なかでも見学者の方が「ここまで分別していたの⁉」と驚くのは、可燃ごみの再分別作業です。一度回収した可燃ごみから、お菓子の包装紙や封筒、付箋などリサイクル可能なものを清掃スタッフが手作業で分別。実際にリサイクルの様子を見ることで、「自分事として捉えられた」という感想も寄せられています。
古くからお付き合いのあるテナントが多く、「働く場所」だけでなく「自分を表現したり、つながりを育む場所でありたい」と、ビルに関わる人々の日常を彩ることを考え続けてきた新宿パークタワー。その姿勢はサステナブルの取組みにおいても変わりません。今後は、テナントとのコラボレーションイベントなども計画中。さらに楽しく、環境にも人にもやさしい活動に、ぜひご期待ください。